トイレの蓋がゆっくり閉まらない/倒れてくる
現在販売されているトイレの蓋や便座のほとんどは、傾けるだけでゆっくりと閉まるように設計されています。TOTO製ですと「ソフト閉止」、LIXIL製ですと「スローダウン」などと呼ばる機能です。
便座・便蓋がゆっくりと静かに閉まることで、周りに迷惑を掛けません。また、トイレ本体も衝撃による劣化を防ぐことができます。
今回は、「トイレのフタがバタンと閉まるようになってしまったら」という内容です。
■先に結論から
便座・便蓋がバタンと速く閉まるようになったら、メーカー修理に依頼して下さい。残念ながら自分で直すことは出来ません。
内部部品の交換が必要になります。分解を伴なう修理ですので、原則としてメーカーのサービスマンにお願いすることになります。
LIXIL(INAX)製は、全てメーカー修理でしか直りません。一部、TOTO製でご自身でも部品交換できる仕様のトイレがありますが、説明書に記載がなければやらないで下さい。
ということで、便座・便蓋が、ゆっくり閉まらない、自立せずに倒れてくるなどの不具合は、各メーカーにお任せするようにして下さい。
■ゆっくり閉まらない原因
ほとんどの場合、便座・便フタを支えてしてる軸に原因があります。
中がどのようになっているかをお見せします。
▼トイレカバーの内側
便座はこのように固定されています。
▼軸のところをアップ
機種やメーカーによって内部に違いがありますが、概ねこのような状態になっています。写真は軸が1つで便座と便蓋を支えていますが、軸が2本タイプの物もあります。
▼軸(左が新品、右が劣化した物)
軸の内部に、粘度のある液体が入っており、油圧でブレーキがかかる構造です。
上の写真の劣化した軸を見てみると、わずかですが黒っぽく液漏れしてるのがわかりますでしょうか。液漏れしているとブレーキが正しくかかりません。
また、液漏れ以外にも「軸が折れているケース」や「軸がカバーから外れているケース」などがあります。いずれも、部品交換を伴なう修理が必要になります。
■使用し続けて大丈夫か?
手を添えてゆっくり閉めるように使用するのであれば問題ないでしょう。
ただし、軸の不具合によって着座検知が正常に働かない場合があります。着座検知がされないと、おしりビデ洗浄が出来なくなったり、自動洗浄されなくなったりします。
また、バタンと勢いよく閉めると、便座に衝撃が加わり便座ヒーターが断線する恐れがあります。ヒーターが断線すれば、当然ですが便座が温かくなりません。
ということで、できれば放置せずに修理をお願いされることを推奨します。
■対策
残念ながら、これといった対策はありません。普通に使用していても故障しますので、消耗品だと割り切って考えるしかなさそうです。
経年劣化の目安は6〜10年ほどでしょうか。
とは言え、同じ年数でも使用回数が多ければ、劣化のペースも上がります。大人数で使用する会社や店舗などは、ある程度は早く消耗する覚悟が必要です。
また、市販されている「便蓋カバー」や「便座カバー」は、劣化のペースが早まる原因になり得ます。特にフワフワ系やフサフサ系のカバーは重たいです。開閉のたびにカバーの重さ分が加わりますので、軸の寿命が縮まります。
便蓋カバーや便座カバーを使用してはいけないわけではありませんが、軸にとってみれば余計な負荷です。よほどの理由がない限り、使用しない方が無難です。
■まとめ
いかがでしたでしょうか。おおよその仕組みはご理解いただけましたでしょうか。トイレの便座・便蓋がゆっくり閉まらなくなったら、残念ながらメーカー修理をお願いすることとなります。
ただし、ある程度は日頃の使い方で長持ちさせられます。力まかせに開閉したり、過剰な負荷をかけたりしないよう心掛けて大切に使いましょう。