「流せるトイレクリーナー」が詰まる本当の理由
■前提として
最新の節水型トイレ(大洗浄4〜5リットル)は、日本レストルーム工業会の定める基準をクリアしている。また「流せるトイレクリーナー」もJIS規格の「ほぐれやすさ」をクリアしている。つまり、どちらも国が定める基準をクリアしているため、結論としては「流せるトイレクリーナー」はトイレに流して良い、ということになる。では、なぜ詰まるのか。
■トイレの排水基準について
トイレの排水は、1回の洗浄で「汚物とトイレットペーパー」が概ね10メートル以上運ばれればOKという基準で設計されている。この仕組みは、次にトイレを流したときに、前回の排水をさらに10メートル先へ押し出すように機能している。
■トイレの先の排水管
毎日使用するトイレは、この「押し出し」の作用が頻繁に行われるため、排水物が配管内で滞留することなく、順調に下水へ流れていく。そのため、通常の使用においては詰まりの問題は起こりにくいと考えられる。
■詰まる理由
一方、使用頻度が低いトイレでは、排水されたものが次の洗浄がないために配管内で停滞し、乾燥して固まってしまうことがある。この固まった物質が徐々に蓄積していくと、配管内を狭め、最終的に詰まりを引き起こす原因となる。「流せるトイレクリーナー」に限らずトイレットペーパーも同じ。
■風呂などの排水が合流
トイレの配管の上流に、お風呂や洗濯機などがある場合、それらの排水がトイレの配管と合流することで洗い流す役割を果たす。そのため、詰まりが発生しにくくなる。
■結論
詰まる原因は「使用頻度」と「排水管のルート」なので「流せるトイレクリーナー」はパッケージに書かれた適量であれば流して良い。ただし、排水管の10メートル先に留まっているかもしれないという想像をして使う必要がある。
自宅の排水管の長さは、前面道路までの距離を考えると分かりやすい。排水管は下水管に繋がっており、下水管は道路の下に通っている。下水管まで流すことができれば、ひとまず詰まりの心配はないと考えて良い。敷地内の汚水桝を追っていくと、より正確に距離が分かると思う。
■最後に
やみくもに「流せるトイレクリーナー」は流しちゃダメとか、コストコのトイレットペーパーは詰まりやすいとか言うのは良くない。また、最新の節水型トイレは詰まりやすいという意見は、必ずしも間違いではないが使い方が原因ということもある。
詰まった経験があると感情的にそう言いがちだが、それぞれのメーカーが研究をしてギリギリまで絞りきって商品を開発していることへの敬意を欠いている気がしてならない。
正しい理解をして、誰も悪者にしない考えが広まることを願っています。